満室経営のために大家に決定権があるものの1つが『家賃』です。
入居者を確保するために、客付け不動産業者(仲介業者)や管理会社の協力は欠かせないことは書いてきました。
不動産業者も、親身になっていろいろな提案をしてくれると思います。
ですが、最終決定を下すのはやはり大家なのです。
オーナーが家賃をどのように決めるべきかを書いてみましょう。
・家賃は高すぎても低すぎてもダメ
家賃とは、その建物の賃借を希望する賃借人(つまり入居希望者)が、賃貸借契約の締結に基づき、賃借後に定期的に家賃を支払う賃借料である(借地借家法)。
大家から見れば、建物の賃借を希望する人に対し、家賃請求権に基づく賃貸請求権としての賃貸料となります。
そこでオーナーは、家賃を設定する際の判断基準として、いろいろなものを加味して検討します。
< いろいろなものとは… >
用地代や建物の建築費用(=建物の価格)、ローン返済期間と残りの総額、建物の造作や間取り、備え付けられた設備・機器
サラリーマン大家なら本業の給料やボーナス(賞与)、年金収入、老後生活費の調達状況
いろいろな状況を検討して、家賃が決められていくわけです。
ですが、これらの条件を超越して、決定的な力を持つファクターがあるのですが、お分かりでしょうか?
・周辺物件の家賃相場との相対関係
大家さんのフトコロが厳しいからといって、市価相場から明らかにかけ離れている家賃設定をすると、入居者が来なくなります。
大家の都合ではなく、入居者の算段で入居する・しないが決定されるのです。
入居者は、家賃の額と不動産物件から受けられるサービスとを秤にかけて、得すると判断した場合は入居を決定するのです。
「少しでも投入した資金を早く回収したい!」
「投資効率(利回り)をよくしたい!」
これは、オーナーの一方的な希望に過ぎず、無理もないこととは思います。
反面、入居者としては「間取りや設備・機器が良いのに家賃は安い」
こちらを考えているのです。
両者がいつかは譲歩して双方が「これぐらいなら」と歩み寄れる価格、これが適正な家賃ということでしょう。
だからといって、両者が話し合いで決めるという訳にもいかないと思います。
そこで出てくるのが『相場』という発想になります。
・相場より安かったらどうなるのか?
こんどは家賃の値下げをしたケースを考えてみましょう。
入居者が付かないから、思い切って値下げした!
破格の安値に決めた大家さんもあるのです。
しかして、実態は…?
極端に安すぎる家賃は、入居者が帰って警戒してしまって、これまた入らないのだそうです。
「事故物件とか、何かあったんじゃないか?」
入居希望者が警戒しすぎてしまって、かえって客がよりつかなくなりダメということらしいのです。
(もっとも、家賃が安すぎると、元が取れないという事態も起きます)
また、いったん家賃が安めに決定してしまうと、将来に物価上昇があっても簡単に引き上げることができなくなってしまうのです。
設定した家賃価格が、適正価格とされてしまい、地域の相場を形成します。
さて、どうしたものでしょうか?
・最終的には仲介業者の判断を参考にする
結局は、地域に詳しく経験のある業者の判断に沿うことが、順当であったりします。
彼らは、地元の状況を理解しており、可能性のある相場について熟知しています。
業者は、周辺の類似物件の家賃を参考にしながら設定案を示してくるでしょう。
そして、その設定案には先に示した大家があれこれ考える判断基準などは全く加味されていないのです。
最終判断は大家にゆだねられているのですが、丸投げではなく意見を聞いてもらい、決定するようになるべきでしょう。