2015年~16年に世間を騒がせた横浜の”傾斜マンション”の話を覚えておられるかたも多いと思います。
問題となったパークシティLaLa横浜は築10年なのに、マンションが傾く事態となり、三井不動産の大盤振る舞いで立て直しが決定しました。
住民としては、ヤレヤレというところですが、こんなこと そうそうあっては困るのですね。
アパートの本当の性能・棟梁の腕は築古物件になってから現れるとよく言われます。
先のマンションも10年近く経ってから正体を現した感じですね。
結果的には三井不動産が400億円も賠償することになり、住民はホッと一息ついた感じでした。
ですが、こんなことになられては、オーナーは溜まったものではありません。
もっと安全に運営していくことはできないのでしょうか?
・中古物件ならではの良い所は
医薬品について、新薬と歴史の長い従来薬の違いについて説明するとします。
すると、新薬はできたてのホヤホヤですから、どんなトラブル(副作用など)が出るかわかりません。
ところが、従来薬ですと、長く使用されてきた歴史がありますから、問題点はほとんど出尽くしていることになります。
新たに、突然思いつかないような大トラブルが発生することは考えにくいことになります。
これが中古物件についても言えるのです。
新築物件は建てたばかりですので、何が隠れているかわからないのです。
新しい基礎工事方式などを採用した場合、真価が問われるのは、5年、10年と経過してからだったりするのです。
先に挙げた”傾斜マンション”のように、10年以上築年数が立ってから、正体が現れることがあるのですね。
ところが、中古物件は過去のマンションの管理状況を確かめることが可能なのです。
マンションの管理状態を示した資料としては、マンションの管理会社が持っている『管理に係わる重要事項調査報告書(短く重要事項調査報告書)』があります。
中古マンションのカルテとでも言うべき資料であり、マンションの管理状況や管理組合の財政についてなどが確認できるのです。
これまで、マンションがどんな風に管理されてきたのか、専有部分の使用状況について、大規模修繕工事の履歴など詳しく記載されているのです。
・管理組合の財政状況と大規模修繕工事計画
金銭面の状況、すなわち収支・予算などの状況から、管理組合の財政について詳しく知ることができます。
ここで重要なのが、借入金の残高や、修繕積立金の滞納の額などの記載です。
滞納額が大きい場合は、管理会社に問い合わせてみることなどが必要です。
管理費の値上げなどが予定されていることもここに記載されていますので、注意が必要です。
大規模修繕工事計画はマンション経営においては、欠かすことのできないことになります。
外壁の工事など、大規模と言っても軽度のものから本格的な部分立て替えなどのようなものまであります。
水回りで、例えば屋上の水利タンクの修理ですとか鉄製の部分の再塗装などは管理上、是非とも必要な工事となります。
水利タンクは、マンションの水源として入居生活に 極めて大きな影響を持ちます。
外回りもさることながら、内側の定期的な手入れも非常に重要なのです。
そして、かなり築年数が過ぎているのに、大規模修繕工事が行われていないマンションは注意が必要となります。
ある時期を過ぎて、突然大きなトラブルに見舞われる可能性が高いです。
(管理組合が杜撰だったり弱かったりすると、大規模修繕工事計画そのものがなかったりと言うこともあります)
中古マンションを購入する際は、必ず重要事項調査報告書を入手してこれまでの歴史を確認すべきです。
重要事項調査報告書は管理会社が持っていますので、不動産会社を経由してぜひ手に入れるようにしましょう。