前項目を読まれますと「これは断然、法人化しなくては!」とお気づきだと思います。
さて、節税効果は大まかにはお分かり頂けたかと思うのですが、今度は相続税対策についてです。
相続税なんてのは、相続させる 大きなものがある人だけの話なのですが、この際 おさらいしてみましょう。
先の法人化の話ですが、役員報酬という形で不動産所得を軽減すると、親世代に家賃収入がたまり続けて資産が集積することを防げます。
役員報酬を子供に行くようにすれば、家賃の収入の一部は子供たちの収入となりますので、お金が下の世代に行き渡ります。
すなわち、相続税対策にもなるのですね。
会社設立した場合の良いところばかりを書いてきたのですが、デメリットはないのでしょうか?
・法人化した時の財政上の短所は?
会社として不動産賃貸をしているとした場合、デメリットは何なのでしょうか?
次のようなことが短所となります。
① 会社設立には費用がかかるのです。
資本金は1円でも良いのですが、設立には24万円前後(よく30万円くらい、と言われている)がかかります。
合同会社になっても6万円くらいはかかります。
② 会社の運営費用がかかります。
会社となりますと、適当なドンブリ勘定ではいかなくなります。
家計ですと、家計簿は適当で収支が合えばよいのですが、そうは行かないのですね。
個人の所得税申告などより、きちんとした会計管理が必要となるのです。
経理や税務の知識は税理士などの専門家にゆだねることになります。
すると、専門家を雇う費用が必要となります。
また、法人には住民税がかかり、これは法人が収入が無くても赤字でも必要となります。
金額は均等割りで最低7万円ですので、あまり家賃収入が少ないときに法人化するとかえって支出が多くなってしまうのです。
要するに、これらの手間賃を支払ってもプラスになりそう、と思えば法人化すればよいということになるのですね。
・社会的な信用もアップする。
こうして法人化すると、晴れてあなたは社長!ということになると思います。
社長の肩書があると何が有利になるでしょうか?
「何だかわからないけど、不動産業らしいよ」
こんな感じで言われなくなり、れっきとした会社の一社員ということになります。
出所のわからない収入は社会的な信用がなく、自由に使えない印象なのですね。
例えば、ライブドアがプロ野球に乗り出す話がありましたが、プロ球団を運営してきた側としてはその信用問題をかなり気にしていました。
本当に、従来やってきた球団の親会社と肩を並べられるくらいの『格』のようなものがあるのか?
親会社が、長くやっていけない、例えば倒産してしまったりしても、球団が困ります。
ライブドアは、収入面では、他社と同等な額があったのだと思いますが、それだけではダメなのです。
球団が結構な赤字を抱えることになっても親会社はビクともしない、そんな安定感が求められるのです。
プロ野球ですと、親会社が疑わしいと、どうしても野球賭博などの不正な操作の元凶にもなるので、かなり信用が重要らしいのです。
一度、雰囲気が悪くなると、プロ野球という業種そのもののイメージも大幅にダウンしてしまうので、やはり警戒されてしまいます。
また、読売などの既得権益を持つ連中も何となく煙たい雰囲気を出していた気もします。
まとめて言うと、ある程度金額が大きくなれば、やはり法人化したほうが何かと得であるということになります。