入居者との付き合い方、関係は極めてデリケートな問題です。
上手く付き合っていけると良いのですが、そうも行かないことも多々あります。
★ 大家は…家賃収入を得る立場
★ 入居者は…家賃を支払って、当座の賃貸生活を守る立場
こうしてみると、両者は対峙する関係にありますので、問題に発展しやすくもあると思います。
大家業に取りましては、家賃収入が途切れることなくコンスタントに入ってくることが、順調な運営の最大のポイントになります。
オーナーが、安定的に家賃収入を得るためには、入居者が満足を持って入居生活を営めることが大切です。
生活の安全が保証されず、不安が前面に出るようでは、入居生活が続かないのです。
入居者が十分満足できるように、大家は計らい、部屋や建物の維持・管理(すなわちメンテナンス)に気をつけなくてはなりません。
事前のリスクマネジメントとしては、以下のようなものがあります。
⇒ 部屋の不具合、使い勝手の苦情、家賃・共益費・更新料の金額の問題など
この前提となることとして、やはり話が通じる、常識ある対応ができる入居者であることが必要です。
これについては、客付けの不動産業者とよく連携し、オーナーとしての要望を伝えておくことが好ましいやり方となります。
客付け不動産店には、オーナーの希望を、なるべく具体的に伝えておくことが重要です。
例を挙げますと…入居者の年収、職業、勤務先、世帯の人数、転居の理由、連帯保証人の有無
こんなところは、客付け不動産側も、むしろ最初から明確にしておいてもらった方が目安になりやすいのです。
(個別の項目について、それぞれ詳しく書きますと…)
年収・職業は、月々給与所得があるサラリーマンなどがベストでしょう。
勤務先は、有名一流会社や公務員(官公庁勤務)、学校の教職員などがベターです。
「差別をしてはいけない!」というのは正論なのですが、家賃滞納の果てに夜逃げされたのでは困りますので…
転居理由や連帯保証人の有無は大変重要なポイントで、客付け不動産も意識していると思います。
年金生活をしている高齢の両親などの場合は、家賃保証会社を検討すべきです。
転居については、前居住先で常識を外れたトラブルやクレームなどで退去していないかが重要です。
時に、女性限定、学生限定、喫煙不可、ペット不可など、条件を厳しくしているケースがあります。
(ペットはたいてい不可が多いですが…)
この場合、客付けする側としては、やはり候補者が少なくなりますので、空室のリスクが高くなります。
(女性については、『女性限定』とせずに『女性優先』すれば、差別その他の問題に発展しにくいと思います)
喫煙については、部屋のメンテナンス上だけでなく、火災の危険性が断然違うのです。
火災の大きな原因の一つの『寝たばこ』などは、喫煙さえなければ決して起きないのですから…
近年の健康志向にあやかる感じで、禁煙をすすめて行くのも、客付けにゆとりがあれば悪くはないと思います。
トラブル発生の場合は、管理会社に活躍してもらうことが良いでしょう。
トラブルがこじれますと、入居者は消費者生活センターに苦情を申し出ることが多いです。
やはり双方から事情を聞くということで、センターから、聞き取りなどが行われることがあります。
(片方からの一方的な情報では、状況が正確につかめないからでもあります)
なるべく管理会社に対応をお願いして、調整に努力してもらうことになります。
それ以上となりますと、民事訴訟ということになり、裁判になってしまいます。
大家としても、許しがたい!譲れないことが多いのですが、裁判となると時期と費用の問題も大変です。
裁判となると、とかく割に合わないことが多く「住民と揉めることが多い」という風評が、かえって入居者を遠ざけても困ります。
ある程度のところで妥協点を見いだして「逃げるが勝ち」の場合も少なくありません。