管理会社とオーナーは、不動産賃貸が始まれば、それこそ二人三脚で相互の利益を守りつつ頑張ります。
空室ができると、相互に協力して客付けに余念がありません。
不動産投資にとって、入居率アップは悲願なのです。
何とか満室経営を目指しまして、相互に努力し、大家は家賃を得る、管理会社は管理手数料を獲得します。
…そういうはずなのですが、実は近年、相互に牽制し合い、選びあう関係になりつつあるようです。
どんな話なのか?と言いますと…
近隣に某大学がある管理会社が、管理の受付を止めるらしい、という話がでました。
管理会社といえば、たくさん物件を管理すればするほど、儲かりそうなのが一般的なイメージですね。
ところが、入居者の客付けが難しくて先が見えてきていて、新規の管理の受け付けを止めると言うことのようです。
管理するとなると、家賃保証とか、面倒を見なくてはならなくなります。
しかし、少子化の問題、学生数そのものが減ってきているとなると、無制限には賃貸できないのです。
学生数以上の下宿入居者は生まれないのが当たり前としても、現状の部屋数に入居者を埋めて行くのが明らかに無理とわかる線が見えているのです。
そして、その線をすでに割り込み始めているとしたら…客付けの限界が来ているとしたら、もう無理はできない、となったようなのです。
管理会社が管理できる物件数が限られるとなれば、できるだけ質の良い物件を大家のみを残して残りはカットしてしまう!
そして、良さげな物件に対してだけ(自社管理物件に対してだけ)、徹底的に客付けをしようという話なのですね。
大家の常日頃の立ち振る舞い、すなわち『大家力』と大家の所有する物件の持つ『物件力』が試されることになります。
ここでは「大家が管理会社に選ばれている」ことになるわけです。
ダメな物件を持って『何とか無理矢理客付けしよう』そういう大家は嫌われる時代になったのです。
管理会社に文句ばかりつけて、努力しない大家はなんと『リストラ』されてしまうのですね。
大家がエラかった時代は終わりを告げたのです。
管理会社ももちろん、大家に選ばれているのです。
対応が良くない管理会社、何も対応してくれない管理会社に任せられるほど、大家もゆとりがないのです。
客付け良好で、営業成績の良い管理会社のみが生き残れる時代、そしてダメならこちらも『リストラ』が待っています。
管理を委託されたからと言って、自動的に次の管理委託契約が更新されていた時代は終わりました。
今後は、大家の期待に添える管理会社のみが生き残れる時代、ということも言えると思います。
先の大学の話では、大家もうかうかしておられない、質の高い物件を持たなくては…
日頃の『大家力』、すなわち物件を見回り、質の高い賃貸を心がけ、入居者のことを考えて、コミュニケーションも密に行って…
そういうところが試される時代になったという話でした。
大家のクレームを聞く時間も管理会社としては営業時間の一部になります。
大家のクレーム対応にも社員が必要ですから、手間がかかる大家には人件費もかかることになります。
大家のクレームが減れば、その分を客付けなど営業成績向上・入居者のサービスにも回せることになります。
過去には大家は王様だった時代もあったかも知れません。
旦那大家が幅を利かせて、好きなことが言ったりできたりしていた時代もあったかも知れません。
管理会社を選ぶのは大家なのですが、大家も管理会社に選ばれているという認識が必要は時代になったと考えましょう。