マンションの賃貸について書いてきましたが、一般に入居が望めない物件でも新しい”賃貸”(=一種の貸し出し)スタイルが提案されています。
海外からの旅行客に対する宿泊体制が断然少ないことが分かったからで、観光立国を目指す方向性が、民泊新法へ加速することになってきているようです。
周辺の情報・状況をまず書いてみます。
5~6年前でしたか?アパホテルが、全国的にサービスエリアを広げまして、かなりの安値で宿泊させ、知名度を上げるキャンペーンを行いました。
スタンプラリーなどもあり「10泊したら1泊無料』みたいなサービスもあったと思います。
(まあ、10泊するのはかなり大変ですが…)
そのアパホテルがその後どうなったかと申しますと、海外旅行者に一泊1万5千円以上で貸し出していると聞きます。
要するに、ブランド付けだったわけでして、海外のお客さんにアパホテルを覚えてもらうキャンペーンだった印象です。
とにかく海外からの観光客で困るのは、一般のビジネスマンですね。
数千円で泊まれていた都内のビジネスホテルが『観光客相場』で運営されますと、出張が厳しくなります。
ホテルのラウンジには海外からの団体客が大声で話し、寝そべったり弁当を広げたり。
フロントマンも、それに合わせて中国人を雇用していますので、外見上どこの国のホテルかわからなくなっていたりしたようです。
(フロントマンが外人というのは、経費節減にも役立っていたようでしたが…)
観光立国などと、突然の旗揚げをしたものですから、ホテルが全然ついてゆけず、困ることになっていたのです。
外国人観光客の増加も年を経ることに増えてきているようです。
政府の立てた『東京オリンピックまでに、年間2千万人』という数字は2015年に、すでに達成されそうなペースです。
そのため、東京オリンピックまでには3千万人と上乗せまでされるレベル。
そして、外国人観光客の宿泊地を見ると、首都圏が40%、関西圏22%、中部圏が10%と続き、首都圏が相当数を占めます。
都内のビジネスホテルの予約状況は2011年が70%だったのが、2015年には86%と急上昇しています。
それにつれて、宿泊価格が高騰もしているので、ホテル業界はかなり盛り上がっていると考えてよさそうです。
そして、羽田に近い東京都大田区ではマンションの空き部屋を旅行者の宿泊施設として利用できる『民泊条例』が制定されました。
言うまでもなく、増えすぎる外国人観光客の宿泊先として提供するということで、2016年1月末から施行開始されました。
『6泊7日以上の滞在』と『近隣住民への周知』の条件が必要になりますが民泊ビジネスの可能性を広げた感じですね。
「日本には行きたし、宿泊費が痛い」こういうパターンが多いのではないかと思います。
(何せ、従来のビジネスホテルの相場より倍近く上がっていますので…)
これまでは、高いと思いつつホテル宿泊されていた旅行客ですが、これ以上の訪日を目指すとなると受け皿の拡大が必要です。
そこで、安くて長期宿泊ができるサービスを提供しなくてはならなくなりました。
ただし、問題があるのです。
マンションの一室でも、貸し出せることになっているとはいえ、やはり住民との接点は見過ごせないのです。
住民としては「旅の恥はかき捨て」とばかりに、無法を尽くすのなら、民泊はお断りしたいのは無理もない話です。
かけがえのない、生活圏を脅かされてはたまりません。
ということで、将来的には、マンションの大半を外国人に提供して民泊も…そういうビジネススタイルが増える気もするのです。