大家業に取りまして、不動産の営業の状況のやり方は 満室運営のためにも、ちょっと知っておいた方が良いでしょう。
営業マンも素人ではありませんので、何とか成約させたい! 入居者を決めさせたい!そう思っています。
入居希望者の心理を上手に理解し、物件を紹介する順番や説明のプロセスなどを、かなり研究してから臨むようですね。
人によっては、前日に物件に一度入り、念入りにチェックをするような猛者まであるようです。
こんな人にかかったら、ついついよさげな物件に見えてしまうかもしれませんね。
できる営業マンほど、自分独自の方法論を持っており、入居希望者がプロのやり方に乗ってしまいますと、何となく入居ということになるのです。
私は、学生時代 ~ 仕事の修業時代と、数えてみたら11回も引っ越しをしていました。
関わった大学は5つを数え、それぞれに在籍しまして、そのうち給与を受けた大学も2つになります。
すべて、物件は自分で選んでおりますので、11回は「物件を内覧に行く」行為があったことになります。
そうしますと、内覧にも何らかの『ストーリー』が仕組まれている、そんな気がすることがありました。
聞きますと、営業の仕組みは、伝統的に脚本(=筋書き)があるようです。
不動産の内覧は3段階に主に区別して行われているようで、その手口を聞いた範囲で紹介しましょう。
『当て・中・決め』の3段階で入居を決めさせようとするようです。
最初のほうで連れて行く物件、これを『当て』と呼びます。
これは、内覧客が「ここはさすがに住みたくない」と思うような物件ですね。
客の要望や好みは、あらかじめ聞いて知っていますが、それにぴったりの物件がそうそうあるわけではありません。
すると、希望の一部は満たしているが、嫌いとする条件がバッチリ入ってしまっているような物件も出てきます。
これらをまずは『偵察物件』として見せて、次の物件へつなげて行きます。
例えば、かなり古い物件や退去後放置されているような物件、掃除やリフォームが全くないようなげんなりする物件が多いです。
『当て』物件で、まずは失望させたあとに「これはちょっと期待できるかも?」という物件に案内します。
これを『中』物件と呼び、『当て』物件よりは良いが、今ひとつの物件ですね。
日当たりは良いが ちょっと狭いとか、バス・トイレがユニットで同じ部屋にあったり、洗濯機置き場が屋外だったり…
良くも悪くもない…そんな物件が起用されます。
いい加減、客が思い悩み、ちょっと疲れかけた時に最後に『決め球』として出てくるのが、文字通りの『決め』物件となります。
これぞ、クライマックス、客の希望にかなり添って良い条件がそろっているわけです。
比較的新しい物件で清潔であり、床はフローリングで手入れが簡単であり、日当たりも交通機関へのアクセスも申し分なし!
こういう手順で内覧すると、どうしても最後に見た物件の良いところだけが強烈に印象に残り、ついつい即断してしまうわけですね。
なお、注意を要するのは不動産店員も したたかでして、単に『最終兵器』へ向けて誘導しているのではないのです。
仲介手数料 家賃1ヶ月分以外に広告費が出る物件、確実に自信があり決めに行ける物件などが揃えられます。
大家業としては、自信の物件が くれぐれも『当て』や『中』の物件にならないように気をつける必要があります。
このように『決め』物件は、入居希望者の考えだけではなく、不動産店員の思惑で動いていることに気をつけなくてはなりません。
そして凄腕の店員ともなりますと、1日で2時間ずつ4回は内覧に連れて行き、4件とも成約!などということになります。
大家としては、頼もしい存在というわけですね。